「ホルモン?」焼き肉にでてくるホルモン(=腸)とは違います。体内のいろいろな臓器でホルモンは作られています。成長ホルモンとか○○ホルモンとか呼ばれます。このホルモンを出す臓器を内分泌臓器と呼びます。出てきたホルモンは、その効果を発揮する受け皿となる標的臓器があります。さらに、ホルモンは、多すぎず、少なすぎずに綿密に調節されています。出す臓器、受け皿の臓器、調節機構のどれかが障害されると病気になります。これらをまとめて内分泌疾患と呼ばれています。いろいろな状況が重なりあうため、病気を理解するのが難しく、医者泣かせの病気と言われ、患者さんの数が多いのに内分泌専門医の数は少ない状態が続いています。内分泌専門医として患者さんのお役に立ちたいと考えています。
甲状腺は喉の前にある甲状腺ホルモンを作る臓器です。甲状腺ホルモンは主に全身の代謝を調節しています。ホルモンが多すぎたり、少なすぎたりすると代謝にかかわる部分に異常をきたします。
甲状腺ホルモンが多いと代謝が勝手によくなるので、汗をかきやすくなったり、ドキドキしたり、息切れがしたり、体重が減ったりします。一方、ホルモンの分泌が少ないと代謝が悪くなるので、寒がりになったり、体重が増えたりします。甲状腺疾患を疑って検査しないと気付かれないことも多いです。ただいずれも早く発見して治療することが大切です。
血液検査でホルモンが多いか少ないか、体は今のホルモン量で満足しているかなどを調べます。また、健診などで甲状腺が腫れていると指摘されたり、甲状腺疾患が疑われる場合は、甲状腺エコーにてその形もしっかり評価します。ホルモンが多い場合は少なくする薬、少ない場合はホルモンを薬で補充します。いずれにせよ、薬の量をきっちりと調節する必要があります。当クリニックでは内分泌専門医が診断、薬の調節を行います。
下垂体は脳の下の方にあり、成長ホルモン・甲状腺刺激ホルモン・副腎皮質刺激ホルモン・性腺刺激ホルモン・抗利尿ホルモンなど多くのホルモンを分泌します。ホルモン分泌の中枢とも言われますが、そのかわりに異常が起こると全身に様々な変化が起きます。
成長ホルモンの分泌が悪くなると子供では身長の伸びが悪くなりますが、大人でも、疲れやすかったり、動脈硬化や糖尿病といったたくさんの変化が起こります。一方、分泌が多すぎると手足が大きくなったり、顔が変わったりします。また、その他のホルモンが多かったり少なかったりすると、喉が渇いたり、尿が多かったり、乳汁がでたり、食欲がなくなったりと様々な症状がでます。下垂体疾患を疑って検査しないと気付かれないことも多いです。ただいずれも早く発見して治療することが大切です。
血液検査や尿検査でホルモンが多いか少ないかを測ります。ホルモンは検査した時の状態(ストレスや寝起きなど)で検査結果が変わるので1回の採血で判断するのは難しくなります。内分泌専門医により適切ないろんな条件で検査します。また、負荷をかけて内分泌臓器の機能を調べるのが内分泌負荷検査です。ホルモンが多い場合は少なくなるようにし、少ない場合は補充するのが治療の基本です。飲み薬であったり、注射であったりします。検査結果を内分泌専門医が細かく検討し最善の治療法を選択します。入院が必要な検査がある場合などは提携病院へ紹介します。
副腎は左右の腎臓の上にあり副腎ホルモンを分泌します。いわゆるステロイドは副腎ホルモンの一種です。副腎ホルモンは血圧や血糖値を調節しているので、副腎疾患では、血圧や血糖値に異常を来します。
副腎ホルモンが多いと高血圧、糖尿病、肥満を来します。逆に分泌が少ないと低血糖や低血圧を来し命にかかわる場合もあります。またカテコラミンという血圧をあげるホルモンも副腎からでているので、多いと高血圧になります。ただ、高血圧や糖尿病といわれ気付かれていない場合も多く、場合によっては治療することで高血圧や糖尿病が改善することがあるので副腎疾患を疑って検査することが大事です。
血液検査や尿検査でホルモンが多いか少ないかを調べます。負荷をかけて副腎の機能を調べる内分泌負荷検査が必要な場合もあります。また、腹部エコーにて副腎が腫れているかを調べます。CT検査や、MRI検査が必要な場合は提携病院へ紹介します。腫瘍からホルモンが出ている場合は手術になることもあります。ただし手術後もホルモンの多い少ないに応じて薬の量の調節が必要です。当クリニックでは検査や薬の調節などを内分泌専門医が行います。
卵巣、精巣などの性腺にかかわる病気を性腺疾患と呼びます。内分泌で取り扱うのは下垂体性・視床下部性無月経、性早熟症、染色体異常などがあります。
副腎は左右の腎臓の上にあり副腎ホルモンを分泌します。いわゆるステロイドは副腎ホルモンの一種です。副腎ホルモンは血圧や血糖値を調節しているので、副腎疾患では、血圧や血糖値に異常を来します。
症状は無月経や2次成長が早いなど、比較的わかりやすいことが多いです。
血液検査や尿検査でホルモンが多いか少ないかを調べます。ただ性腺ホルモンの場合、ホルモンが多い少ないだけではなく、調節機構もややこしいので、いろいろな内分泌負荷検査が必要な場合が多いです。不妊とも関わることがあり、ホルモンの薬や注射での補充療法などを、当クリニックでは内分泌専門医が行います。