心臓の血管が狭くなり、急に胸が痛くなる病気です。心臓に酸素・栄養を送る冠動脈が、動脈硬化などで細くなり、血流が悪くなるために起こります。
歩行や階段の昇降、食事など身体を動かしたときに痛みが起こるのを「労作性狭心症」、安静時に痛みが起こるのを「不安定狭心症」といいます。
胸が締め付けられる痛み、押しつけられるような圧迫感、動悸、息切れが特徴です。背中や首の痛み、歯が浮くような感じがすることもあります。
心電図・胸部レントゲンで心臓の状態を調べます。また、「狭心症」の症状は、夜や早朝に出ることが多いため、ホルター心電図で24時間の心臓の状態を検査することもあります。
治療は、軽症であれば、禁煙や減量、生活習慣病の改善を行い、冠動脈の動脈硬化を防ぎます。また、症状によっては冠動脈をひろげる薬や心臓の負担を減らす薬を飲みます。
重症の場合は、カテーテル手術や冠動脈バイパス手術が必要になりますので提携病院へ紹介します。
心臓の血管が詰まり、強烈な胸の痛みが起きる病気です。心臓は血液がこなくなると、30分ほどで筋肉が死んでしまいます。日本人の死亡原因の第2位、死を招く病気です。
焼きごてをあてられたような激しい胸の痛みが10分から2時間ほど続きます。冷や汗や動悸、息切れ、失神することもあります。まれに、糖尿病患者さんなどでは胸痛を伴わないことがあるため、動悸・息切れなどが続くときは、すぐに受診してください。
心電図や心エコー検査、血液検査などで検査します。心臓の細胞は壊死するとほぼ再生しないため、治療は1分1秒を争います。陽性の場合は、すぐに提携病院へ紹介します。
脈が異常に速くなる(頻脈)または異常に遅くなる(徐脈)、脈が不規則になる病気です。心臓は1日に約10万回規則正しく動いていますが、なんらかの原因で心臓の電気信号が乱れるために起こります。
ドキドキ動悸がする、脈が異常に遅くなる、脈が飛ぶほか、めまいやふらつき、息切れ、胸の痛みが起こることもあります。また、強い動悸の後にそのまま失神する場合も見られます。
まずは、心電図で心臓の電気信号を調べます。ホルター心電図、心臓エコー検査を行うこともあります。多くの不整脈は治療を必要としませんが、1分間に400〜600回心臓がぶるぶると震え、脈が速くなる「心房細動」のように危険な不整脈もあるため、正確な判断がとても重要です。
心臓には、血液の逆流を防ぐための弁がついています。加齢などが原因で、この弁の開きが悪くなったり(狭窄)、きちんと閉まらずに血液が逆流する(閉鎖不全)病気です。「心臓弁膜症」になる高齢者の方は年々増えており、国内では約200万人の方が「心臓弁膜症」とされ、年間17,000人が手術を受けています。
息切れや動悸、めまい、胸痛が起こります。しかし、症状がじわじわと進行していくため、からだが慣れてしまい、自覚症状がない場合も多くあります。
まずは、聴診で、心臓に雑音がないか判断します。また、心電図や胸部レントゲンで心臓の状態を調べます。心臓エコー検査では、その場で、弁の動きや血液が逆流していないか、などが分かります。治療は、軽症であれば、心臓の収縮力を高める薬や血管を拡張させる薬など、症状に合わせた薬を飲みます。その後も、弁の働きが悪化していないか、定期的に検査をすることが大切です。また、重症の場合は、手術が必要になるため、提携先の病院へ紹介します。
心臓のポンプ機能が低下して、全身に十分な血液を送り出せなくなる状態です。
原因は3パターンあり、狭心症や不整脈、心臓弁膜症など心臓の病気が原因になる場合、高血圧や脂質異常症、糖尿病の「生活習慣病」が原因になる場合、そして、ストレスやかぜ、加齢が原因になる場合があります。
息切れや動悸、強い倦怠感のほか、血液が心臓に戻りきらなくなり、顔や足のむくみが現れます。
また、肺に胸水がたまると、呼吸困難や白っぽい痰、気管支ぜんそくのようなヒューヒューという喘鳴が出ることもあります。
胸部レントゲンで、肺にうっ血や胸水がないか、心臓が大きくなっていないかをすぐに調べます。また、血液検査で心臓に負担がかかったときに出るホルモンなどを調べます。心臓エコー検査では、心臓の動きや心臓の壁の厚さなどがその場でわかります。治療は、原因となっている病気の治療が重要です。心臓の働きを助ける薬や体内の余分な水分を出す薬を飲むこともあります。
心臓は心筋という筋肉の伸び縮みで血液を送り出しますが、高血圧や心臓弁膜症など心臓に負担がかかると、より強い力で血液を送り出そうとして、心筋が厚くなり、心臓の部屋が大きくなります。この心筋が厚くなる状態を「心臓肥大」、心臓が大きくなる状態を「心臓拡大」と言います。健康診断時に、胸部レントゲンで「心臓が大きい」と指摘されるケースの大半は、心臓拡大です。
心臓の収縮力が弱まり、顔や足のむくみ、倦怠感など心不全と同じような症状が現れます。また、心臓肥大が進むと、冠動脈の流れが悪くなり、狭心症に似た、締めつけられるような胸痛が出ることもあります。
まずは、原因となる高血圧や心臓弁膜症がないかチェックします。
さらに、胸部レントゲンや心電図、心臓エコー検査により、心臓の異常を徹底的に調べます。
一度大きくなった心臓は元に戻すのは難しいため、原因となる高血圧または心臓弁膜症の治療をおこないます。また、心臓肥大・心臓拡大が悪化していないか、胸部レントゲンや心電図、心臓エコー検査などで定期的にフォローします。
長距離の飛行機・電車移動、骨折後のギプス、寝たきりなど、長時間、同じ姿勢でいることで、足の静脈に血の塊ができ(深部静脈血栓)、それが血流で流れて、肺の動脈をつまらせる病気(肺塞栓症)です。
足のむくみ、腫れが現れます。血の塊が肺の血管をふさぐと、胸痛や呼吸困難、失神などを起こし、最悪の場合、死に至ることもあります。
血液検査のほか、胸部レントゲンと下肢静脈エコー検査で血栓ができていないかがすぐに分かります。
治療は、血栓ができないようにする薬や血栓を溶かす薬を飲み、血流を正常に戻します。
重症の場合は、血栓を取り除く手術が必要になるため、提携病院へ紹介します。