血液中の糖分(血糖)の量が異常に高くなる病気で、主にインスリンというホルモンが不足したり、正常に働かなくなることが原因で発症します。インスリンは膵臓から分泌され、血糖値を下げる役割を果たしていますが、糖尿病ではこれがうまくいかなくなります。最近では、オートファジーや炎症といった新たな要因が糖尿病に関与していることも明らかになってきています。
日本では、糖尿病患者数は約2050万人に上り、15年で1.5倍に増加しています。そのうち4割は未治療の状態です。糖尿病には、糖尿病眼症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害、心筋梗塞、脳梗塞などの合併症が多く、年間16,000人が糖尿病関連で亡くなっています。
糖尿病の症状は、血糖値が非常に高くなってから現れることが多いです。典型的な症状には、喉の渇き、多量の尿、体重減少、強い倦怠感があり、これらは危険信号といえます。
高血糖が続くと、動脈硬化が進行し、心臓や脳、目、腎臓などの血管が痛むことがあり、これにより、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、失明、人工透析、足の切断といった重大な合併症が引き起こされることがあります。
症状が進行する前に治療を始めることが重要です。
糖尿病の診断は、血液検査で血糖値や、過去2ヶ月間の血糖の平均を示すHbA1cを調べることで行います。糖負荷試験により、糖尿病の状態を正確に評価します。さらに、動脈硬化をチェックするために血圧脈波検査や頸動脈エコー検査を行い、合併症の有無を確認するために尿中アルブミン検査なども実施します。
治療の基本は食事療法と運動療法です。個別に必要な食事量やカロリーを計算し、栄養士が適切な食事指導を行います。
また、運動療法も紹介されます。薬物療法はできるだけ少なくすることを目指しますが、必要に応じて、糖尿病専門医が最適な薬や量を選びます。近年、飲み薬やインスリン、GLP1製剤などの治療薬は進化しており、専門医によって最新の治療が提供されます。さらに、外来でインスリン注射や新薬の使用が行われることもあります
糖尿病の約5%は若い人に多い1型糖尿病です。ウイルスの感染や自己免疫によりインスリンを出す膵臓の細胞が破壊されインスリンが出なくなります。インスリンがないので血糖値は急激に高くなります。若い人に突然に発症します。
2型糖尿病と違い、急激に発症するので、喉の渇き、多量の尿、体重減少、強い倦怠感などの典型的な症状がでます。合併症は基本的に一般的な糖尿病合併症と同じですが、若い頃から長年、糖尿病と付き合わなければならないので、しっかりと検査して、病気と上手に付き合っていく必要があります。
血糖値や血糖値の約2ヶ月間の平均を示すHbA1cなどに加え、1型糖尿病に特殊な血液検査をし、正確に糖尿病専門医が診断します。
治療の基本はインスリン治療になりますが、患者さんの生活リズムにあわせ、糖尿病専門医が患者さんに一番あった治療を提供するので、時にはインスリンポンプ療法などマニアックな治療にもなります。もちろん、食事療法、運動療法も指導します。当クリニックでは、カーボカウントなど1型糖尿病に特有な栄養療法も施行が可能です。また、新薬が出た場合には、糖尿病専門医がいち早く取り入れた最新の治療を提供可能です。